聴神経腫瘍になったら 〜癌治療・がん保険・ガン検診〜

聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)とは何か?まずは知識を深めよう

聴神経腫瘍と診断されたからといって愕然としたまま過ごすわけにはいきません。

まずは聴神経腫瘍に関する知識を深めて、自分の中がどういった状態なのか、どうなるのか、どうすればいいのかを理解するところから始めましょう。そうすると自ずと何をしなければならないのかが見えてくるはずです。サポートをする周りの家族の方も一緒に知識を深められればより一層、生活に安定感が出るでしょう。

▼ 聴神経腫瘍とは ▼

聴神経腫瘍とは、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)と総称される腫瘍の中の1つです。
神経鞘腫の中で最も発生率の高いものです。
神経鞘腫とは、神経を取り巻くようにして支えている鞘(さや)から起こる腫瘍の総称です。
脳・脊髄腫瘍の1つとして分類されますが、脳からは12対、脊髄からは30対の神経が出ていて、
それぞれ頭蓋骨および脊椎骨の孔を通り抜け、体の各部位へと到達しています。
神経鞘腫とはそんな神経が脳・脊髄を出てから骨の孔に入るまでの間に起こる症状と、
まれに末梢神経や軟部組織でも発生します。
第8脳神経である聴神経から起こる場合が全体の8割、三叉(さんさ)神経、顔面神経等から起こります。

▼ 発症率・再発率・生存率・リスク要因 ▼

  発症率  
日本人に年間300人程度発症していると言われています。
脳腫瘍においては、4番目に発症率の高い腫瘍です。
脳腫瘍全体の10%程を占めると言われています。

  年齢別の発症率  
30〜60歳代で発症率のピークを迎えます。

  リスク要因  
明確なリスク要因は解明されていませんが、何らかの遺伝子変異が原因であると言われています。

▼ 放射線リスク・関連性について ▼

放射線照射における発がん性へのリスク要因は、以前から懸念されていました。
診断用エックス線は、人工的である放射線源としては最も線量の大きいもので、
世界平均の年間被ばく線量の15%を占めると言われていて、
診断用エックス線による発がんリスクはこれまでも問題視されてきました。
ただ、被ばく量や癌の部位・進行状態ごとの詳細な関連性のデータはなく、
あくまで「リスク要因の1つ」として挙げられるものです。

2011年に日本で起こった放射能漏れ事故に伴い、放射線と発がんリスクについてが問題視されています。
ここでは、診断用エックス線を調査対象とした全世界のリスク要因データを基に記述しております。
具体的な数字やデータに責任の追えるものではありませんが、参考程度と考えて頂ければ幸いです。

診断用エックス線による75歳までの発がん累積リスクの推定値は、世界平均は約3%と言われています。
この数字は、先進15カ国を抜粋し計算されていて、被ばく頻度によりその推定値は大きく変動が予想されます。
リスク要因が高い数字で示された癌は男性では膀胱がん、大腸がんと白血病の順。
女性では大腸がん、肺がん、乳がんの順となっています。

初期症状・症状について

◆聴力低下
◆耳鳴り
◆痛み:神経刺激症状
◆語識別力の低下:音としては聞こえているが、言葉として理解できにくい
◆顔面神経麻痺:顔がたるみ、反対側はひきつったようになる。まぶたが閉じられない。
◆運動失調:手足のふるえ・ふらつき
◆手足の運動麻痺
◆頭痛・嘔吐

最新の診断方法

  MRI(磁気共鳴法)  
強力な磁場を用いた検査です。
頭蓋骨があっても画像の乱れがなく、脳や腫瘍のみをクリアに映し出します。
さまざまな断層面の画像も得られ、脳が細部にわたり観察できます。
腫瘍の正確な大きさ形・進行具合をごく詳細な部位まで判別可能となっています。
現在、画像精度はさらに向上しており、神経や血管の走行も判別可能で有用な画像診断法となっています。

  CT(断層撮影)  
X線とコンピューターを用いた断層撮影です。
最も多く使われている診断法で、近年ではごく小さな腫瘍の診断も可能となりました。
CTの利点は骨の状態を調べることにあり、どの骨の孔に破壊が生じているかも推察可能です。

  脳血管撮影  
聴神経付近には、脳に栄養を送る重要な動脈や静脈が存在しています。
それらの走行異常や奇形の有無を検査するため、大腿部の動脈から脳の血管へ管を挿入し脳血管撮影を行います。

  耳鼻科検査  
機能障害の有無を検査します。
聴力検査、顔面神経機能の検査、平衡感覚やめまいの神経の機能検査を行います。

聴神経腫瘍に対抗するための治療法・抗がん剤

聴神経腫瘍を治療するための最新医療。

治療方法は大きく外科療法・放射線療法とがあります。 外科療法・放射線療法は「局所療法」と呼ばれ治療を行った部分にだけ効果が期待できます。

▼ 外科療法 ▼

癌細胞の組織を含めた周りの正常組織も同時に切除するのが一般的です。
癌細胞のある部位により処置箇所は異なります。
手術は開頭手術がとられます。
術後も聴力回復は困難とされていますが、近年ではごく小さい腫瘍切除ならば聴力を残せる場合もあります。

◆副作用は、高度の顔面神経麻痺。

▼ 放射線療法 ▼

放射線には癌細胞を死滅させる効果があり、癌組織を破壊させるのに有効です。
又、放射線治療では放射線照射をした部位にだけ効果があるという有用性があります。

聴神経腫瘍になったら

聴神経腫瘍と診断されたからといって愕然としたまま過ごすわけにはいきません。

診断された数日〜数週間は現実を受け入れられなくて悩み、葛藤し、自暴自棄になり気が立ってサポートしてくれるはずの家族や友人・スタッフに当たり散らすのはごく自然で人間らしい行動です。人間は誰しもがんという病に侵される可能性を持って生れます。それが人よりも早いか遅いか、寿命よりも早いか遅いかの問題です。現代人の寿命が延びれば延びるだけ、寿命よりも病魔に侵される人が多くなります。

今、自分が病魔に侵されたと解った現実こそが運が良かったと思えるときがくるように前に一歩踏み出しましょう。

まず、病気をきちんと治療してくれる病院を見つけることから始めて、口コミや人気、評判を参考に有名な病院で自分に合った専門医を探しましょう。次に始めなければならないのが精神面のケアになります。精神面のケアは自分自身でも出来る対抗手段のひとつで、これからの人生にとってとても大切なターニングポイントです。

地域ごとに同じ病気で悩んでいる人たちと悩みを聞きあったり、苦労を分かち合ったりするサークルや集まりがあります。また、地域や病院によってはがんに関する知識を付けてもらおうとそれぞれの講座を開催しているところもあります。

目の前の敵に対して確固たる姿勢を見せつけてやりましょう。